登山中に熊に会わない対策と、会ってしまった時のベストな対処法とは⁉
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登山をしていると、「熊出没注意!」という看板を目にしたことは有りませんか?
最近では低山でも目撃情報が有ったり、熊に襲われてしまったというニュースも耳にすることがあります。
他人事と思っていると、いざ熊に遭遇してしまった時にパニックになってしまうかもしれません。
ある程度、会った時を想定しておくと、慌てずに冷静に対処することが出来るのではないでしょうか?
私の周りの登山仲間でも、熊に遭遇したことがある人が実際に何人かいます。
万が一の時に自分を守るために、どういった対処をするのがベストなのかを勉強しておくことが大切です。
目次
日本に生息する熊
日本の国土のおよそ4割にクマが生息しています。
現在世界には8種類の熊がいますが、日本に生息する熊はそのうちの
ヒグマ と ツキノワグマ の2種類になります。まずは、その2種類の熊それぞれの生息地や大きさ、食べるものなど特徴について詳しくみてみましょう。
ヒグマ(エゾヒグマ)
日本に生息する陸上の哺乳類の中ではダントツで大きな生き物で、ホッキョクグマと並びクマ科では最大の体長を誇っています。
成獣では500kgを越える個体も記録されています。
生息地
北海道の約半分の地域に生息しています。
森林を主な生息地としますが、木の少ない原野にも出てくることがあります。
行動範囲
ヒグマは固定したなわばりをもたず、重なり合った個々の行動圏を持っていることが明らかになっています。
そして、メスよりもオスの方が行動圏が広いようです。
サイズ
環境省の資料によると、成獣で体長200~230センチ、体重は150~250キロとされています。
ツキノワグマと同様に,オスの方がメスよりも大きくなります。
日本では最大の陸上動物です。
こんな大きな動物が、実際に自分の前に現れたら恐ろしいですね。
食物
ヒグマは雑食性で、植物を主食としています。
食性は地域により異なりますが、近年では、生きたシカを襲って食べるケースも増えてきているようです。
ツキノワグマ(別名:アジアクロクマ)
アジアクロクマ、ヒマラヤグマの名もあります。
全身黒色で,胸の部分に白色の月の輪状の斑紋があります。
ツキノワグマは夜行性ですが、果実のなる時期や冬眠前は昼間も行動します。
生息地
本州と四国の33都道府県に生息しています。
東北地方や中部地方では6割以上の地域に、関東、近畿、中国地方では3割程度の地域に、四国は限られた地域にだけ生息しています。
昔は九州にもツキノワグマが生息していましたが、現在は生息は確認されていません。
落葉広葉樹林のあるところを主な生息地としています。
行動範囲
ほぼ決まった地域を行動圏としますが、ドングリなどの食物が不足すると、食物を求めて行動圏を広げます。
行動圏については、オスで平均100平方キロ、メスで平均40平方キロだといわれて、高い移動能力も兼ね備えています。
サイズ
平均的な個体で、体長が110~150センチ、体重はオスが80キロ位、メスが50キロ位です。
世界のクマ類と比べると、小型~中型になります。
食物
ツキノワグマは雑食性ですが、植物を主食としています。
登山中熊に遭遇しないための対策方法、グッズは?
「熊」は、ぬいぐるみやアニメのキャラクターなどに使われて世界中でもファンの多い動物です。
アニメや絵本に出てくる熊はとてもユーモラスで優し気ですが、残念ながら実際の熊は非常に危険な動物です。
実際の熊はするどいツメと大きな歯を持っていて、時速40キロメートルで走ることもできてしまいます。
ものすごく走るのが早いのです。
とはいえ、本来クマは人間を極力避けて行動する動物でもあります。
それでも、色々な状況から熊に遭遇してしまうという事が有るのが現実です。
熊としても、突然人間が現れればびっくりしますので、何をしてくるかわかりません。
熊も人間が怖いんです。
出来るだけ熊と出会わないよう、人間の方で気を付けたいところです。
熊に出会ってしまった人の情報から、登山者よりも、山菜採りの目的で藪やしげみに入った人が襲われることの方が多いようです。
出来るだけ登山道をはずれないようにするのも1つの方法です。
熊の出る山、熊の目撃情報の有った山には極力行かない、近づかない。
何よりも熊の出る山には行かないというのが、熊に会わない一番の方法ですが、登山をする以上なかなかそうはいきません。
少なくとも、 熊の目撃情報の有ったばかりの山には足を運ばない ことと、 熊の出る山には出来るだけ一人では行かない方がいい でしょう。
そして、登山中にもしも 真新しい糞や熊の足跡をみつけたら、付近に熊がいる可能性が高い
ので、慎重に行動するか場合によっては登山を中止にしましょう。
熊の糞が新しい場合には、表面がつやつやして柔らかく、時間が経過している場合は表面が乾燥しています。
熊に自分の存在を知らせる。
熊は小さな音でも聞き分ける能力(聴覚)やイヌのようにわずかなニオイをかぎわける能力(嗅覚)をそなえた大型動物で、優れた運動能力をもっています。
人間がいれば匂いでわかるようですが、もしも 人間が熊よりも風下にいた場合には気づかないことも有る ようです。
ですので、音を鳴らして人間がいることを知らせるというのも有効です。
熊鈴
自分の存在を熊に知らせる対策として有名なのは、やっぱり熊鈴です。
どれだけの効果が有るのかは正直不明ですが、やるだけの価値は有るかなと思います。
ただ、熊鈴をつけていても会ってしまった例が有りますので、過信せずに、熊鈴を持っていても会うかもしれないという心構えはしておきましょう。
それから、熊鈴を持参する上での注意点ですが、山までの途中では音がうるさいですので、必ず鳴らないように気を付けるようにしましょう。
ただの鈴ではなく、 消音機能がついた鈴 が売っていますので、その方がいいでしょう。
また、登山道でも周りに配慮しながら使用するようにしましょう。
ちなみに、熊鈴の音は低い「カランカラン」という音よりも、高温の「チリンチリン」という音の方が遠くまで届いて効果的と言われています。
★熊鈴についての記事はこちら↓ ↓ ↓
熊鈴のおすすめはどれ?機能・デザイン・音色などから厳選19選!
ホイッスル
熊鈴とは別に「熊よけホイッスル」という商品も売られています。
ホイッスルは、緊急時の救助依頼の手段としても使われますので、やたらと吹くと勘違いされてしまうので気を付けて使用する必要が有ります。
見通しの悪い箇所を通過する時などに吹くのが一番高価的な使い方 です。
ザックによっては、チェストベルトがホイッスルになっているモデルも有りますので、あらかじめチェックしておきましょう。
ラジオ
熊鈴は人間が動いていないと音が出ないので、止まっていても音がずっと出続けるものとしてはラジオがあります。
流すものとしては、ずっとしゃべっている落語なんかがおすすめです。
ただ、登山道でのラジオ音を不快に思う人もいるので、その辺も気を付けなければなりません。
それから、音をずっと鳴らしていると、 逆に辺りの音の異常が感知し難くなってしまう ので、その点も気を付けましょう。
登山中、熊に遭遇してしまった時の対処法は?
普通は熊の方で気づいて立ち去ります。
とにかくこちらが慌てふためいて大騒ぎしてはいけません。
背中を向けて逃げるというのは絶対にしてはいけません。
熊も人間を怖がってはいますが、背中を向けて逃げられると本能で追いかけてしまいます。
それから、すぐに大声を出すのも、熊がびっくりして襲い掛かってくる可能性が有るのでやめましょう。
まずはじっとそのまま目をそらさずに熊を見ます。
そして、 ゆっくり静かにそのまま後ずさり して離れましょう。
あまりに熊が近くにいたとしても、大声は出さずにじっとまずは様子を見て、少しづつ後ずさりです。
帽子や手袋などを熊の向こうに投げてそっちに気をそらすのも手です。
熊が投げたものに興味を示すので、熊が気をとられているスキに後ずさりのままゆっくり距離を離します。
熊が再びこっちにきたら別のものを再び投げてを繰り返します。
それでなかったら、荷物をそこにそーっと置いて、熊がそれに興味を示しているうちに、後ずさりするというのも時間がかせげるので1つの方法です。
ただし、荷物を回収するのは絶対してはいけません。
一旦熊が触ったものは、熊が再び取り返そうとしてきますので、非常に危険です。
もしも、熊がかなり遠く(50m以上)にいたなら、静かに様子を見ます。
そして、そのままこちらへ近づいてきてしまったら、大声や大きな音を出してこちらの存在を知らせ威嚇しましょう。
そうしている間に、熊スプレーや武器を準備します。
穏やかに話しかけながら、少しずつ後退します。
熊が攻撃してきたとき
熊が攻撃してきてしまっても、後ろ向きで逃げないのは同じです。
もしも逃げたところで、すぐに追いつかれてしまうからです。
また、望みがあるうちは地面にうずくまらないで、もし鉈(ナタ)や杖でもいいので有れば一撃しましょう。
熊に対抗する武器としては鉈がおすすめです。
所持していても違法にならないし、ナイフよりも威力が有り、野宿には利用価値も有るしいざという時に武器にもなります。
万が一、熊が自分の荷物を掴んだら、そのまま渡してしまって荷物を取り返したりするのは絶対に止めましょう。
熊は一度触れたものは自分のものとみなして、それをとられたら逆上してしまいます。
もう確実に攻撃される状況になってしまったら、 うつ伏せになって顔と腹部を守り、致命傷を防ぐために首の後ろを手で覆い守って地面に伏せましょう。
ザックがプロテクターの役割となります。
ただし、その場合は熊が立ち去るまでいたぶられることになりますが…、死は免れるかもしれません。
これは、本当に最後の手段です。
熊撃退スプレーを使う!
もし熊スプレーを持参していたら、熊スプレーで撃退しましょう!
ただし、熊スプレーの使用には注意が必要です。
熊スプレーは強烈で、肌に少し付いただけでもヤケドのような刺激を受けてしまいます。
また、髪の毛に付くとその後、目や鼻や口に入ってしまい、自分が大きなダメージを受けます。
目の場合視力低下や失明の危険もあります。
スプレーを使うときには必ず 風向きに注意し、自分にかからないよう十分注意 する必要があります。
5秒噴射×2回程度で空になってしまうので、ミスは出来ません。
そして、 効果があるのはクマの顔に降りかかったときだけ なので、使うなら 確実に顔をめがけて噴射 しましょう!!
熊スプレーは少々高価で、長くは持ちませんが、保険と思った方がいいと思います。
熊が頻繁に目撃されている山にどうしても行くなら持参をおすすめします。
なお、熊よけスプレーには有効期限がありますので、購入時にチェックを忘れずに。
登山に持参する「おすすめ熊スプレー」
熊撃退スプレーは、ヒグマ・ツキノワグマそれぞれの熊に合ったものを使用した方がいいです。
ヒグマの場合のおすすめスプレー
アメリカ製の熊撃退スプレーです。
UDAP 熊撃退スプレー ホルスター付(アメリカ森林警備隊採用品)
重量 408.23g 有効射程距離 9m
※熊スプレーは、場所によってはレンタルも有ります。
必ず使うかわからないものなので、レンタルを利用するのもいいでしょう。
知床財団のホームページを見る
ツキノワグマの場合のおすすめスプレー
北海道のみ生息するヒグマに対応したスプレーは、人間には大変危険なので、やむを得ない場合のみに使用して、それ以外の場合にはこちらのスプレーを使用しましょう。
熊撃退スプレー 中型 B-609
ツキノワグマ専用の安全確実なクマよけスプレーです。
噴射距離約5m 噴射回数0.5秒×4〜5回(連続2〜2.5秒)
熊撃退スプレーB-609専用ホルスターケース N-4FM
熊撃退スプレーB-609を腰ベルトに装着できる専用のホルスターケース
<熊スプレーを買う際の注意点>
飛行機の持ち運びに関して、熊スプレーは、安全上の問題で機内持ち込みはもちろん飛行機預け入れもできません。
ですので遠い場所への遠征登山になると、陸路で運搬が必要になります。
<有効使用期限が経過した熊スプレーの廃棄について>
周辺に人家のない場所(山や海辺など)で練習として実際に噴射してみて空にするなどの方法が有ります。
それが難しい場合は熊除けスプレーの廃棄処分代行サービスもありますので、どうしても自分で処理するのは難しいという場合はそういったところへ相談してみましょう。
登山中に熊の被害を避けるために気を付けるポイント!
<熊の被害を避けるために気を付けるポイント!>
★事前に熊に出会った時の対処法を必ずチェックし、しっかり対策をしておくこと!
★熊に出会ってしまった時、熊に背を向けて逃げないようにする!
★熊は時間や天候に関係無く行動するので注意!
★熊に遭遇、もしくは真新しい熊の糞を発見したらすぐに下山するようにすること!
★熊があさった荷物を取り返さないこと! また、熊に襲われたと思われる鹿の死骸を見つけたら、再び戻ってくる可能性が有るので、すぐにそこを離れること!!
★小熊には絶対に近づいてはいけない! 親熊がそばにいる可能性が強く、小熊を守るために親熊は狂暴になる!!
★人間の食べ物を絶対にあげてはいけない! 人間の食べ物のおいしさを知ってしまうと、再び食べ物を得るために人間を襲うようになってしまう!!
★犬を連れて山に入るのはかえって危険! 犬が吠えると、熊は興奮して襲い掛かってくる可能性が高くなる!!
有名な過去の熊事件簿
実際に有った、世界の怖~い”熊に襲われた事件”をあげてみます。
2016年5月~6月 十和利山熊襲撃事件
秋田県鹿角市十和田大湯字熊取平と字田代平で、ツキノワグマがタケノコ採り客を襲撃し4人が死亡、2人が重傷を負った事件。本州では記録に残っている中では最悪な獣害事件。
2014年9月 ニュージャージー ハイカー襲撃事件
ニュージャージー州ウェスト・ミルフォードの自然保護区にハイキングに来ていた大学生4人が熊に襲われ、一人が逃げ遅れ熊に食べられて死亡した事件。
2012年4月 秋田八幡平クマ牧場ヒグマ事件秋田県鹿角市にあった「秋田八幡平クマ牧場」で、ヒグマがおりから逃げだし従業員を2人を襲って死亡させた事件。
2011年8月 ペトロパブロフスク羆事件シベリア東部のペトロパブロフスクという都市の近隣の川辺でキャンプしていた親子がヒグマに襲われた事件。父親が先に殺され、その後娘は熊に襲われながらも母親に電話し、電話した状態で熊に食べられ死亡した。
1996年8月 星野道夫氏ヒグマ襲撃事件テレビ番組「どうぶつ奇想天外!」の撮影のために、ロシアのカムチャッカ半島南部のクリル湖畔で、写真家の星野道夫氏がテント泊をした際、ヒグマに襲われ死亡した事件。
1970年7月 福岡大学ワンダーフォーゲル同好会ヒグマ襲撃事件北海道の日高山脈を縦走中だった福岡大学ワンゲル部の五名が三日三晩ヒグマに追われ続けて、うち三名が次々と犠牲となった獣害事件。
1923年8月 石狩沼田幌新事件北海道雨竜郡沼田町の幌新地区で開拓民や猟師がヒグマに襲撃され、四名が死亡、三名が重傷となった獣害事件。
1878年1月 札幌丘珠事件
北海道石狩国札幌郡札幌村大字丘珠村(現在の札幌市東区丘珠町)で発生した獣害事件。冬眠から理不尽な形で目を覚まされたヒグマが猟師や開拓民の夫婦を襲って、死者3名、重傷者2名を出した。
1915年12月 三毛別ヒグマ事件
北海道苫前郡苫前村、三毛別、六線沢で起きた日本史上最大規模の獣害事件。
特大レベルのヒグマが数度に渡って村を襲撃し、七名が死亡、三名が重傷を負った。
まとめ
熊は時に人を襲う怖い生き物です。
ですが、熊が植物の種をフンとして出すことで植物の繁殖を助けるなど、実は熊は生態系を支える役目を果たしています。
ですので、熊がいる森は、他の多くの動物も生息できる大事な地域です。
やたらめったら駆除することはしません。
人間と熊がうまく距離をとりなが共存することが大切です。
熊はとても恐ろしいですが、登山中に襲われた事件というのはとても少ないです。
あらかじめ熊に関する知識を持っておくことで、万が一遭遇しても冷静に対処できますし、より安全な方法を選択出来、自分の命が助かる可能性も高くなります。
登山をする以上は、しっかり知識を持っておきましょう。