登山中に雷に遭わない方法、また遭ってしまった時の最善の対処法は?
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山で雷に遭ったことは有りますか?
遭ったことのない人にはなかなか実感がわかないかもしれませんが、山の上での雷は、最悪死につながるので非常に怖いものです。
出来る限り山では雷に遭わないようにすること、また万が一遭ってしまった場合には出来る限り助かる方法を知っておくことで、命を守ることにつながります。
完璧に雷予測することは出来なくても、雷に遭う確率を大幅に少なくすることは可能です。
必ず雷についての知識を備えておきましょう。
目次
雷について
世界では落雷してしまった人の約30%の人が亡くなっていますが、日本では実は落雷による死亡率が70%と非常に高いです。
亡くなった人の多くは落雷した木の側にいたことによる側撃(そくげき)によるものが多いようです。
また気象庁によると、落雷の被害は1年間では7月8月が圧倒的に多くなっています。
この時期に山へ行く時には特に警戒が必要です。
雷のゴロゴロという音が聞こえたら、遠いなと思ってもすでに危険地帯です。
すぐに避難することを考えましょう。
直撃 (ちょくげき) とは
雷とは地面と雷雲の間に放電が起こる現象のことです。
雷は高いものや突起物に落ちやすいという性質が有ります。
直撃というのは、雷雲から直接人や物体に放電が生じて、雷の電流が流れることを言います。
側撃(そくげき)とは
例えば木に雷が落ちたとして、その木のそばに人だったり物があった場合、その間で放電が起きて、そばにいた人や物にも電流が流れてしまいます。
これを側撃と呼んで、これもまた非常に危険です。
直撃と同様の強い感電力です。
山で雷に遭わない方法は?
天気予報はこまめにチェック
「落雷注意報」が出ている時には山へは行かないのが賢明です。
また、天気予報で「大気の状態が不安定になる」という時も気を付けた方がいいです。
寒冷前線が近づいている時も雷が発生しやすくとても危険です。
山へ行く前には必ず天気予報をチェックしましょう。
そして、雷警報は随時変更されたり、解除されたりもするので、山にいる間にもこまめに予報や雲の状況をチェックした方がいいでしょう。
行動時間は早めに設定して早めに下山する
通常平地では夕方から夜にかけて落雷になることが多いですが、山の場合はそれよりももっと早い時間に襲われることが多いです。
ですので、登山の基本として「早く出て早い時間には下山もしくは行動を終わらせる」というのが有ります。
それは、午後になると雷の発生する確率がぐっと増えるからです。
特に夏季は、出来るだけ早い時間に歩き始め午後14時くらいには行動を終えるようにしましょう。
そうすることで、雷に遭う確率を少なくすることは出来ます。
雲をよくみる
朝9時ころまでに積雲がもくもくと成長している時は要注意です。
入道雲は雷の象徴とされ、入道雲がどんどん高さを増している時は雷が起きやすいです。
入道雲のことを積乱雲(せきらんうん)とも言います。
雲の高さがどんどん高くなり雲の下の方が濃い灰色になってきたらこれから雷や強い雨がくるサインです。
天気予報を見るだけではなく、雲の様子を常に気にかけて観察しましょう。
雷のゴロゴロという音が聞こえたら、遠いなと思ってもすでに危険地帯です。
すぐに避難できる場所を探しましょう。
もしも山で雷に遭ってしまったら
充分気を付けていても山で雷に遭ってしまったら、可能な限り早く安全な場所を探しより助かる方法を考えましょう。
安全とされる場所
避難小屋
近くに避難できる建物が有ったら中に入りましょう。
出来ればコンクリート製の建物がいいのですが、山だったら避難小屋でもよいです。
そして避難小屋の中に入っても、壁や柱から離れているようにしましょう。
避難小屋に落雷した場合に、そこから電気が伝わってしまうことがあります。
建物といっても、テントは雷が落ちることがあるので側電の危険があります。
東屋(あずまや)もついつい避難してしまいがちですが、実は東屋も落雷することがあり、 避雷針がない東屋の場合は安全な場所ではありません。
実際に東屋に避難していた登山者が、東屋への落雷で死亡する事故が起きています。
避雷針というのは、雷をその棒に落とさせ地面へ電気を逃してくれる装置のことです。
建物がなかったら、なるべく周りよりも自分が飛び出ない場所(窪地など)を探しましょう。
ひらけた場所に立つと自分が飛び出てしまうので、避けましょう。
車の中
車は基本、設計段階で雷対策がされていますので、車がもしあれば車の中に逃げましょう。
ただし金属部分に触っていると感電することがありますので、触らないようにしましょう。
ちなみに車にも例外があって、オープンカーの幌タイプのソフトトップで上部を覆うタイプの場合は危険ですので、他の安全な場所を探す必要が有ります。
送電線や鉄塔の近く
送電線や鉄塔の近くは安全です。
送電線や鉄塔の近くは雷をひきつけやすいため、避雷針のような役割をしてくれます。
鉄塔の場合は2m以上離れた場所にしゃがみましょう。
危ない場所
木の側
木は高いので木の下に逃げれば自分は大丈夫と思って、木の下に逃げる人がいますが、それば大間違いです。
木のすぐ側は、もしも木に落雷した場合に電気が移ってくるので大変危険です。
木の高さの半分ほどの距離の位置にしゃがみ込むようにしましょう。
あまり離れすぎても危険です。
ただし、木から4m以上は離れる必要があるので4m以下の木では使えません。(どうしても4m離れるのが無理なら最低でも2mは離れましょう。)
木のてっぺんを45度の角度で仰ぐ位置で体を低くしてしゃがみましょう。
木の枝や葉っぱからも側撃を受けますのでその点も注意が必要です。
どうしても他に避難できなそうなら、上の法則を参考にしてね!
稜線
稜線の上はむき出しですので、そこにいるだけで飛び出てしまい、雷が落ちやすくなるのでとても危険です。
稜線に居る時は、できるだけ低いくぼみやハイマツの中に避難するようにしましょう。
ハイマツの中は100%安全というわけではありませんが、稜線の上にいるよりはマシです。
雷が通りすぎるまで小さくなって身を潜めておきましょう。
岩々の場所
岩は電流を通しにくいので、もし岩場に雷が落ちると岩を伝って電気が走り、そこにもし人がいたら被害をうけてしまいます。
人間は電気を通しやすいので、側撃を受けやすいです。
やはり、近くにハイマツや窪地を探しそこへ身を隠しましょう。
どんな姿勢が一番いい?
・両手で耳をふさぐ(鼓膜を守る)
・地面に接触する部分を出来るだけ小さくする
・両足は揃える
雷は高いところに落ちる習性が有ります。
鳴っている状況では、なるべく低い姿勢になりましょう。
うつ伏せや手足を地べたに付けるのは、落雷の電気が地面を伝わってきてしまうので良くありません。
「地面に接触する部分を出来るだけ小さくすること」が大切です。
両足を閉じてしゃがむのが電流が流れにくいベストの姿勢です。
両手で耳をふさぐことで、 万が一落ちてしまった場合に、鼓膜が破れるのを防ぐのに有効です。
雷は実は金属に落ちるわけではない
雷は金属に落ちるというふうによく言われます。
あわてて金属のものをはずしたりする人もいますが、実はあまり意味がありません。
人の体は同じ高さの金属と同様に誘引するといわれているので落雷を防ぐ効果は結局は同じです。
むしろ、金属をつけていることで人の体を流れる電流の量を減らしてくれる一定の効果が有ることがわかっています。
雷が聞こえたら、金属を外すよりも安全な場所を探す方に集中しましょう。
気を付けること
雷が聞こえなくなってもしばらく待機雷が聞こえなくなっても、少なくとも30分は避難場所で待機するのが安全です。
グループでいたら固まらずに間隔を開けるもし何人かでいたら、一人一人の間隔を開ける(5m以上)ようにしましょう。
くっついていると、雷が落ちやすくなってしまいますし、誰かに落ちてしまった場合近くにいる数人にも側電し、被害が大きくなる可能性があります。
長いものを持っていたら体から離して寝かすピッケルやストック、傘などの長いものを持っている時は、すぐに体から離して地面に寝かせておくようにしましょう。
リュックなどにとがったものを指したままにしておくと、そこに雷が落ちやすくなり危険です。
また雨が降っていても傘は差さずにその場に置いて逃げた方がいいです。
誰かに落雷してしまったら…
落雷してしまうと強烈な電気の刺激で、心臓が止まってしまったり、不整脈になり呼吸停止してしまうことが有ります。
自然と心臓が動くこともありますが、動かなければ死に至ることになります。
落雷した人がいたら、出来るなら一刻も早く心臓マッサージをすることが重要です。
心肺蘇生法をやるのが早ければ早いほど助かる確率が高くなり、また後遺症の残る確率も低くなります。
もちろん、雷によるやけども負っているでしょうが、雷によるやけどはほとんどの場合が浅いので、心肺蘇生の方を優先しましょう。
もしも心停止や呼吸停止をしていないので有れば、着ているものの上からやけど部分を冷やしましょう。
過去の雷事故について
1967年(昭和42年)8月1日、長野県松本深志高校で恒例の集団登山中、生徒の列に落雷した事故です。
鎖場を下山していた2人が転落死、尾根に居た9人は感電死、その他13人は負傷しました。
集団での登山の有り方だったり、気象に対する判断などについて色々な議論がされましたが、最終的に引率者の過失責任は問われませんでした。
この事故は、日本最悪の雷事故とされています。
この当時よりも今は、雷の起こりやすい気圧配置などがわかってきていますので、この事故を教訓として、もう2度とこのような事故が起こらないことを願います。
まとめ
昔は、雷を予測するのはとても困難でしたが、今はかなりの確率で雷を予測できるようになってきています。
登山に行く際には、必ず天気予報をチェックして、雲の状況や風などに注意を払い出来るだけ危ない状況に身を置かないようにして、自分の身は自分で守りましょう。