登山のビバーク(緊急野営)について、初心者でも知っておきたいこと。
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何らかの理由で予定どうりに下山できなくなり、緊急で野営することをビバークと言います。
初心者の方は、「日帰りだし野営することなんてない」なんて考えるかもしれませんが、初心者こそ道に迷いやすいですし、突然怪我してしまって下山が遅れることだって有ります。
突然の霧で道がわかりづらくなり、道を間違えてしまうことだって有るかもしれません。
万が一野営になってしまった時に、ビバークの知識が有るか無いかで、助かるか助からないかの分かれ目になる可能性も。
まずはそうならないように、早い時間に下山できるようにすることです。
それでもどうしても山で一晩過ごさなくてはならなくなってしまった場合は、どういった方法が有るのかを見て行きましょう。
目次
どういう時にビバークする?
・天気が急変して雨風により体が濡れて、体温が奪われてしまわないよう雨風をしのげる場所へ一時的に避難するためにビバークします。
・道がわからなくなり、無理に歩いてしまうと危険な場合は、明るくなってから動いた方が良いので、そんな時にもビバークします。
・怪我や病気で動けなくなってしまった時、救助を呼んだけれどすぐに救助が来れない場合も有ります。
それ以外にも、予想外の事態でビバークが必要になる可能性があります。
ビバークするのに避けた方がいい場所は?
出来る限り安全でより暖かい場所にビバークしたいところです。
では、安全ではない場所というのはどういったところでしょうか?
ビバークするのに出来るだけ避けた方が良い場所をご紹介します。
雨や風が通る場所
体が濡れてしまったり、さらにそこに風がふくと、体の体温がどんどん奪われてしまい低体温症の危険がでてきてしまいます。
できるだけ雨や風をしのげる場所を探しましょう。
稜線は、捜索隊に見つけてもらうのには良いのですが、突風の危険があります。
沢の近く
遭難してしまうと、早く下山したいという思いからか、下へ下へ降りて行ってしまう人が多いようですがこれは危険です。
沢へ降りてしまうと、気温が低い上に、増水してしまうことも有ります。
斜面や崖の近く
滑落や落石の可能性があるので、斜面や崖の側はやめましょう。
また雨が降った後だと地滑りのリスクも出てきます。
湿地帯
体が濡れると体温が下がりやすくなってしまいます。
低体温症になりやすくなってしまいますので湿地帯は避けましょう。
雷の鳴っている時の大木の下
晴れの日なら問題ありませんが、雷が鳴っている時には木の下に雷が落ちる可能性が有るので危険です。
ビバークの決断
慌てない。焦らない。
道に迷ってしまうと、予想以上に焦ってパニックになってしまうものです。
焦ってしまうと、正常に考えられなくなり、間違った行動を起こしてしまいがちです。
遭難してしまったという事実を認め、慌てずに落ち着いてどうするのがベストかを考えましょう。
ビバークするのは早めに決定しましょう。
残りの行程と日が沈む時間そして残りの体力などを考えて、下山が厳しいと思ったら早めにビバークを決断しましょう。
暗くなってからの野営は本当に大変です。
暗くなってしまうと、ビバークに最適な場所を探すのも思うようにできません。
暗い中山の中をうろうろすると、危険な場所に踏み入れ滑落してしまう危険性も。
早めに、よりビバークに適した場所を決めて準備をしましょう。
ビバークするのに有るといい物は?
絶対に持参すべきもの
日帰りだろうと泊りだろうと、登山に行くなら必ず持参すべきと思うものです。
ツェルト
ツェルトとはテントよりももっと簡易的でより軽量化されたもので、設営用のワイヤーは付属しておらずトレッキングポールを使って設営します。
カップ1つくらいの大きさになるツェルトも有り、それほどの荷物にはならないので、日帰りでもツェルトを持参するようにしたいところです。
もしツェルトを持っていないならレジャーシートでも同じように使えます。(ただしそれなりのサイズがないと駄目ですが。)
エマージェンシーシート
ツェルトだけではかなり寒いです。
持っている防寒着を全て着たとしても、夜の山は非常に冷え込みます。
体温低下を防いでくれるエマージェンシーシートも1人1つ持参してほうが良いです。
エマージェンシーシートは災害の時にも有ると便利です。
ヘッドランプ(替えの電池)
山の夜は真っ暗で、歩かないとしても何も見えません。
必ず日帰りでもヘッドランプは携帯しましょう。
そして、必ず替えの電池を忘れず持っていきましょう。
せっかくヘッドランプを持参しても、いざ付けようとしたら電気切れだと意味がありません。
★ヘッドランプについてもっと詳しい記事がこちらです。↓ ↓ ↓↓
雨具
ビバークする上では特に体の冷えは命取りです。
低体温症の恐れもあるので、出来るだけ体を濡らさないようにしなければなりません。
必ず、雨具を一番上に着ましょう。
★低体温症についてはこちらの記事を参照ください。↓↓↓↓
非常食
無事にその日の内に下山出来たとしても、予定より大幅に歩くことになってしまうなんてことも有ります。
食料は食べる予定の量よりも多く、必ず非常食を持参するようにしましょう。
万が一遭難してしまった時、もしかしたら何日も救助が来ない事態も考えられます。
防寒着 手袋、帽子なども
山は下界よりも気温が低いですので、日帰りでも当然防寒着を持参すべきです。
万が一遭難した場合のためにも少し多めに持って行くと安心です。
レインウェアは防寒着の役割にもなります。
出来れば持参したいもの
トレッキングポール歩く際に使うのはもちろん、ツェルトを張るのに使います。
着替え防寒着とは別に有ると良いです。
汗や雨などで服が濡れてしまうと、体温が下がりやすくなり、低体温症のリスクが高まります。
ちょっとかさばりますが、有ると便利です。
せっかく持参しても着替え自体が濡れてしまっては意味が有りませんので、持参するなら防水袋に入れるようにしましょう。
カラビナツェルトを木にくくりつける時にはカラビナを使います。
細引きツェルトをつるすための紐です。
必ずしもなくてもツェルトは使えますが、有ればより快適に出来ます。
ライター、マッチちょっとした焚火をしようとした時にライターが有れば火が点けられます。
また、ガスの火が点かない時にも使えます。
保温の水筒山の中は夜本当に冷え込みます。
ガスでお湯を沸かして保温水筒に入れて少しづつ飲めば体を温めることが出来ます。
新聞紙着替えがない時に服の下に入れたり、お尻にひいたり、焚火をするのにも使えます。
持参していれば、その他にも色々な使い道が有るので、常に持参しておくと良いものです。
カイロ火を起こせないような場所でもカイロが有れば簡単に暖かくなります。
ナイフ地面からの冷気を防ぐために、枝や枯れ葉をしきつめると良いです。
枝を短く切ったり、とがった部分をナイフで切ったりするのに使えます。
有ると便利なもの
折り畳み傘ツェルトを立てられない場合に、ツェルトの中で傘を広げると、中に空間が出来ます。
シュラフカバーシュラフカバーは、寝袋が雨つゆで濡れないように寝袋の上にカバーするものです。
かなり小さいサイズになりますので、ツエルトを持っていないならシュラフカバーを持参しても雨を避けるのに使えます。
レジャーシートツェルトがないなら、大き目サイズのレジャーシートでも代用できます。
紐も持参してレジャーシートの中央に紐を渡して両端を木にくくってツェルトのように使ってもいいですし、すっぽり体を包んでも使えます。
ガスバーナー焚火ができなくても水を温めて飲むことができます。
ビバークすると決めたら…
まずは連絡、必要なら救助要請
もしも、ビバークをすると決断したら、まずは携帯が通じるようなら家族か身近な人にビバークする旨を連絡しておきましょう。
防寒着などが十分ではなく身の危険を感じる場合は救助要請が必要ですが、基本は非常時以外は自力下山するようにしましょう。
それでも身の危険を感じるなら救助要請をしましょう。
ヘッドランプを装着して、ビバーク場所を探す
暗くなってしまうとヘッドランプを探すのも大変です。
暗くなる前にヘッドランプを出して頭に装着しておきましょう。
そして、ビバーク場所を同じく暗くなる前に見つけましょう。
濡れた衣服は着替える
もしも服が濡れていたら乾いた衣類に着替えましょう。
濡れたままの衣服を着たままだと、乾いた衣服に比べて体温が下がるのが大幅に早いです。
着替えを持参していなければ濡れた服の下に新聞紙を挟むんでも暖かくなります。
新聞紙は色々なことに使えるので、できれば持参しておきたいものです。
持っている衣服を着こみ、一番上にはレインウェアを
夜はかなり冷え込みます。
持っている衣類を全て着こみましょう。
雨などで濡れないように一番上にはレインウェアを着ましょう。
遭難で亡くなった方の中には、リュックに衣服が入ったままだった方もいるそうです。
遭難したことで余裕がなくなってしまったのかもしれません。
最初は大丈夫でもどんどん寒くなってきます。
何も防寒するものをもっていなければ、リュックの中身を全てだしてその中に入るという方法も有ります。
必要ないものはザックから別の袋へ移す
着替えなどをすませたら、必要のないものは大きなごみ袋かスタッフバックなどに移しましょう。
中身を濡らしたり、なくさないためです。
地面からの冷えの対策
地面は非常に冷たく直接座ると熱を奪われます。
余裕があれば、枝を集めて格子状にしき、その上に落ち葉をのせていきます。その上に座ればかなり暖かくなります。
ザックをお尻にひいて使うんでも寒さがやわらぎます。
もし大きな袋があればその中に落ち葉をつめれば座布団になります。
ツェルトが有れば張る
通常はトレッキングポールを利用して設営しますが、 必ずしもトレッキングポールを使わなくても、緊急の時にはロープとカラビナを利用して木にくくりつけて設営したりも出来ます。
出来れば2本の木を利用して張りますが、無理な場所なら片方だけ吊るか、それも無理ならば頭からすっぽり被るだけでもOKです。
一人1つづつツェルトを持っているなら、1つはテントにして、1つはくるまって使うという方法も有ります。
もし折り畳みの傘があれば、ツェルトの中で傘を広げれば中に空間が出来ます。
ガスでお湯をわかして体の中から温まる
もしもガスを持参していたら、お湯を沸かして飲めば体の中から温まります。
非常食を食べる
もしもまだ非常食が残っているなら、食べることで消耗してしまった体力を回復させられます。
焚火が出来るなら焚火をする
もしも落ち葉や枝を集められて、燃やせるような場所があるなら焚火をすればかなり暖かくすごせます。
ただし、山火事にならないよう気を付けましょう。
2人以上いたら背中合わせで
もし2人以上でのビバークなら、背中合わせで座れば暖かいです。
そういった道具を持参していなかったら
あまりそういった道具を持参していなくても有るものを利用して出来る限りの工夫をしましょう。
ツェルトについて
ツェルトはただ持参するだけではなく、張る練習もしておきましょう。
いざとなった時にどうすればいいのかわからないと焦りが生じます。
どうしてもつるしたりが出来なければ、体に巻き付けるだけでも良いです。
ただ、どのような感じになるのか試しておくようにしましょう。
もしツェルトがなければ、レジャーシートを持参すれば、紐でつるしたり、くるまることが出来ます。
まとめ
ビバークは登山をする全ての人に起こりうることです。
万が一ビバークしなければならなくなった時のために、しっかり装備を持参することと、どのようにビバークすればよりいいのかを勉強しておきましょう。
ビバーク体験が出来る講習も開催されています。
機会が有れば参加しておくと良いですよ。