是非とも読んで欲しい「新田次郎」著のおすすめ本、勝手に15選!
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山岳小説の名作を数多く執筆した新田次郎さんの本の中で、おかめが個人的におすすめ作品を選びました。
歴史小説にはあまり興味がないので、主に山岳小説です。
特に登山をやる方もしくは登山に興味を持っている方には、楽しめる作品ばかりです。
中には実際に有った事故を基にした作品も有り、今後登山をやる上で参考になるものも有ります。
まだ読んだことがない方は是非読んでみて下さい。
目次
新田次郎について
1912(明治45)年長野県上諏訪生れの日本の小説家、気象学者です。
無線電信講習所を卒業後、中央気象台に就職し、富士山測候所勤務も経験します。
1956(昭和31)年には「強力伝」で直木賞を受賞し、次々と山が舞台の山岳小説を執筆し数々の名作を生みだしました。
また、歴史小説の分野にも力を注ぎ、『武田信玄』は吉川英治文学賞を受賞、そしてTVドラマ化もされました。
1979年に紫綬褒章、1980年には正五位勲四等旭日小綬章を受章されています。
そして、1980年67歳の時に心筋梗塞で急逝されました。
没後、その遺志により新田次郎文学賞が設けられ、新田次郎の生まれた地である長野県諏訪市図書館には新田次郎記念室というコーナーが設けられています。
新田次郎の本おすすめ15選
新田次郎のおすすめの本を1~5位、6~10位、11位から15位にそれぞれ分けてご紹介していきます。
おかめの独断で選んだもので、主に山に関する本ばかりです。
実際に起きた事件を基に作られたものが多いですが、それ以外にも小説、自伝などもあり、どれもおすすめです。
参考にしてみてください。
ベスト1~5位
「八甲田山死の彷徨 (はっこうださんしのほうこう) 」 新潮文庫
新田次郎の本の中でまずは読んでおきたい1冊です。
明治35年に青森の「八甲田山」で実際に起きた大規模な遭難事件を基にした小説です。
日露戦争前夜に、日本陸軍青森五連隊が青森市街から八甲田山の田代新湯へ向かうという雪中軍事訓練の途中での遭難です。
まさに極寒での人体実験とも言えます。
この事件は、210名中199名も死亡した近現代史上最悪の遭難事件と言われています。
高倉健さん、北大路欣也さん主演で映画化もされています。
実際に現場を見たわけではないのに、非常にリアルに描かれていて、読んでいてドキドキするし、どんどん引き込まれていきます。
そして人間の身勝手さやリーダーシップについても学べます。
「孤高の人」
実在した登山家「加藤文太郎」の物語です。
それまでは裕福な人がするものとされていた登山を、文太郎は社会人登山家として身近なものにしました。
彼は基本は単独行で人間離れした登山をし、そしてちょっと変わった人物でした。
そんな文太郎が山に目覚め、彼らしい訓練を独自にします。
ちょっと誤解されやすい文太郎ですが、ついに結婚をし少し山から遠ざかりますが、友人に誘われ山に行くことになり…。
短い人生となってしまった加藤文太郎の最後はどんなものだったのか興味が有る方は是非。
なんとも山の描写が素晴らしいので、情景を思い描きながら読み進められます。
この小説を原案として漫画にもなっています。
「剣岳―点の記」 文春文庫
日本地図を完成させるために、命がけで未開の地「剣岳(つるぎだけ)」を目指した測量士のお話です。
また同じく初登頂を目指す日本山岳会との競い合いも見ものです。
話の内容は実話に基づいたものです。
今でこそ、剣岳にはちゃんと登るルートが有りますが、当時はどれだけ大変なことだったのかを知ることが出来、そのありがたみも感じます。
登山ルートだけではなく、地図もこうやって作られたのだと知ることが出来ます。
2008年には浅野忠信さん主演で映画にもなっています。
「アラスカ物語」 新潮文庫
フランク安田こと「安田恭輔」という実在の人物がモデルのお話です。
彼は明治時代の初めに、日本を離れアラスカへ行き、現地の女性と結婚します。
そしてアラスカの現地の人々とふれあい溶け込み、日本へ戻ることなく生涯を閉じます。
日本ではほとんど知られていないけれど、アラスカでは有名人だという人物を新田次郎が綿密な取材、調査をして素晴らしい描写で描いています。
新田次郎のフランク安田への思い入れを感じさせられます。
「銀嶺の人」 新潮文庫
女性では世界で初めてアルプスのマッターホルン北壁の登攀をなしとげた「今井通子」と「若山美子」という実在の女性クライマーのお話です。
厳冬期の八ヶ岳で二人が偶然出会うところから小説は始まります。
それぞれに医師と彫刻家という仕事を持ちつつも岩壁攀に青春を掛ける姿はとても素敵で輝かしいです。
偉大な二人の女性クライマーのお話ということで、登山をやる女性には外せない本です。
ベスト6~10位
「聖職の碑(せいしょくのいしぶみ)」 新潮文庫
大正2年(1913年)に中央アルプスの「木曽駒ヶ岳」で実際に起きた山岳遭難事故を基に書かれたものです。
小学校の生徒らが修学旅行で伊那駒ケ岳に登った際に天気が急変し、嵐にまきこまれました。
子供たちの家族の事まで考えると非常に辛くなりますが、当時の教育者の有り方について色々考えさせられますし、また山での低体温症についてなども良くわかります。
そして、山の稜線上には記念碑が設置されています。
この事故を知らなければさらった通り過ぎてしまうかもしれませんが、この本を読んでから見ると全然違った見え方をすることでしょう。
気象遭難の教訓としてとても参考になります。
「アルプスの谷、アルプスの村」 新潮文庫
昭和36年に新田次郎自身が初めてアルプスを訪問した時の記録です。
山岳小説が多い中のこのエッセイですが、とても面白く新田次郎の凄さを感じます。
憧れの地での出来事と魅力的な人々との交流など新田次郎自身が体験したその記録です。
山岳小説しか読んだことがない方は一度こちらの本も読んでみていただきたいです。
何十年も前の作品ですが、今でも充分楽しめます。
「小説に書けなかった自伝」 新潮文庫
これほどの名作をたくさん書いた人が一体どんな人なのかとても興味深いです。
新田次郎の山岳小説を幾つか読みその魅力に触れた人には、是非新田次郎自身がわかるこの自伝を読んでいただきたいです。
真面目で正直な人柄が伝わってきます。
「芙蓉の人」 文春文庫
厳冬の富士山山頂に籠もって命がけで気象観測をした気象研究者の夫に同行し、自身も一緒に籠った妻のお話で、実在の人物を基にしたものです。
現在のようにしっかりした冬山の装備がない中での厳冬期の富士山を登るということは命がけのことです。
夫を思う強い感情に驚きますし、お互いを思い合う愛を感じられる作品です。
テレビドラマにもなっています。
「槍ヶ岳開山」 文春文庫
実在の人物である修行僧「播隆上人(ばんりゅうしょうにん)」が未踏の岩峰である「槍ヶ岳」初登攀を目指すというお話です。
槍ヶ岳は、今や梯子や鎖が取り付けられて山頂まで容易に登ることができるようになりましが、当時はもちろんそんなものは有りませんでした。
脚色は結構されているようですが、事実に基づいたものなので、槍ヶ岳をこれから登ろうとする人も登ったことのある人も楽しめます。
出来れば登る前に読んでいただきたいです。
ベスト11~15位
「富士山頂」 文春文庫
富士山頂に念願のレーダーが設置されるまでのお話で、実話に基づいたものです。
主人公は、新田次郎自身です。
非常に細かい描写がされているので、容易に情景が浮かんできます。
とても迫力を感じる作品です。
「怒る富士」 文春文庫
宝永4(1707)年、富士山は突然大爆発をしました。
16日間もの期間砂と灰を降らせ続け、山麓農村は甚大な被害を受けました。
その富士山噴火という大災害からの復興のお話です。
いつ噴火してもおかしくないと言われる今、読んでおきたい1冊です。
「先導者、赤い雪崩」
「先導者」「赤い雪崩」他全部で8篇の短編集です。
新田次郎の作品で短編集はめずらしいのですが、女性の嫉妬だったりプライドなどが描かれた作品もありとても面白いです。
事実に基づいた作品にちょっと飽きてきたら読んでみて欲しい1冊です。
「栄光の岩壁」 新潮文庫
「芳野満彦」という実在の人物をモデルにした作品です。
10代の時に遭難して足に凍傷を負い両足先のほとんどを失いながらも、不屈の精神で日本人で初めてとなるマッターホルン北壁初登攀を達成します。
普通に考えて両足先が無い時点で登山自体も諦めてしまいそうですが、岸壁を登攀するんですから、もの凄い人です。
本当の話と思えないほどの壮絶人生、読み始めたら止められなくなります。
「強力伝・孤島」 新潮文庫
新田次郎の処女作で、直木賞を受賞した短編集です。
「強力伝」は、150㎏も有る巨石を背負って白馬岳山頂へ運ぶのに挑んだという実際に有ったお話を基に書かれています。
そして「孤島」は、太平洋上に有る離島で孤独に耐えつつ気象観測に励む人々のお話です。
まとめ
おわかりのように、新田次郎の小説は実在の人物や実際に起きた事件を基にしたものがとても多いです。
ただ、その出来事を新田次郎らしく非常に素晴らしい描写で読者にその様子を想像させてくれます。
登山をやる方には、登山にかかわる偉人については非常に興味深いですし、また話に出てきた山は登ってみたくなります。
こういった背景を知った上で登る山はまた全然違った見え方をすることでしょう。
また、自分にはとても無理と思われる激しい登山を、お話の中で体験することも出来ます。
おかめのおすすめとしてご紹介しましたが、興味を持ったものから是非読んでみてください。